「イスラエル国防軍」

イスラエル国防軍

イスラエル国防軍
(Israel Defense Forces)
人的資源
徴兵年齢 18歳
有効人数 15歳~49歳の男性: 1,499,186人(2000年)


15歳~49歳の女性: 1,462,063人(2000年)

兵役に適合する人数 15歳~49歳の男性: 1,226,903人(2000年)


15歳~49歳の女性: 1,192,319人(2000年)

徴兵可能人口の増加数 男性: 50,348人(2000年)
女性: 47,996人(2000年)
軍事予算
ドル換算 87億ドル (FY99)
GDP 9.4% (FY99)

イスラエル国防軍Israel Defense Forces (IDF)ヘブライ:צבא הגנה לישראל  Tsva HaHagana LeYisraelヘルプファイル)は3軍により構成されるイスラエル国正規軍である。

1948年に設立されたIDFは5度にわたる大規模な戦争を経験しており、世界で最も練度の高い軍隊の一つだと評価されている。2004年8月時点では10万7千500人の徴集兵を含む16万8千人の人員を有しており、陸軍は12万5千人、海軍は8千人、空軍は3万5千人で構成されている。この他に40万8千人の予備役がおり、総動員時の兵力は57万6千人に達する。

目次

歴史

イスラエル国防軍は1948年5月14日のイスラエル建国と共に設立された。独立前からユダヤ人コミュニティの防衛を担っていた自主防衛組織ハガナー、特にその常備部隊パルマッハが基盤となった。さらに、第二次世界大戦を英国指揮下で戦ったユダヤ旅団の出身者の多くも参加している。地下組織イルグンおよびレヒは国防軍との協力を約束したが、自身の独立性は1948年の第一次中東戦争終結まで保持していた。戦後にこれらの地下組織の構成員は国防軍に参加している。1949年から1956年にかけてイスラエル国防軍はアラブ諸国との戦争をとおして近代化と効率化を押し進めた。

その後の十年間は少数精鋭主義の職業軍化を目指すとともに、核兵器開発にも力を入れた。1970年代後半に行われた第四次中東戦争以後は大規模な戦争を経験していないが、周辺諸国との対立により散発的な紛争を経験している。

装備および軍事技術

メルカヴァ
クフィル

現在イスラエル国防軍は世界でも有数の戦争遂行能力を保持していると評価されている。装備品にはM4カービン銃F-15戦闘機F-16戦闘機AH-64攻撃ヘリコプターなどアメリカ合衆国から供与、購入した製品が多く使用される。イスラエルはアメリカ合衆国から毎年20億ドル相当の軍事援助を受けており、その多くはアメリカ製の軍事装備を購入することに費やされる。

これらとは別にイスラエル独自に開発および製造した兵器も多く存在する。クフィル戦闘機ガリルアサルトライフルウージー短機関銃などは輸出の上でも成功をおさめた。また低強度紛争 (LIC = Low Intensity Conflict) に対する装甲車輌用の独自の装備として、OWS (Overhead Weapon Station) と呼ばれる、車内から遠隔操作できる市街戦向きの自動銃座がある。

兵器開発

イスラエル軍が持つ兵器の中で有名なものは、小火器、戦車およびAPC、戦闘機などである。その他にはアメリカと共同で開発した対弾道ミサイル防衛システム、偵察衛星なども保有している。核兵器をはじめとする大量破壊兵器の開発および保有が報道されているが、政府が公式にこれを認めたことはない(#核兵器参照)。

軍用車輌

イスラエル国防軍の機甲師団の歴史は、各国から中古やスクラップで入手したM4シャーマン戦車の再生・改良に始っており(スーパーシャーマン参照)、そうした経緯からか、同軍の軍用車輌の改良や使い回しの上手さはつとに知られている。海外から導入した車輌にも必ず周辺地域での戦闘に特化した独自の改良や装備が施され、既に二線級となった戦車のアップグレード、退役した戦車の装甲兵員輸送車や支援車輌への転用、アラブ側から捕獲した車輌の改良・転用など、多くの成功例がある。その改造が、原型の車両が何なのかが一目では分からなくなるほどの大改造になることも多く、一部の軍事マニアの間で「魔改造」とまで言われるほどである。また限られた戦力を有効活用するため、メンテナンスや点検を頻繁に行い稼働率を上げる努力が払われており、長距離移動にはトランスポーターや乗員輸送バスなどが活用されている。

同軍は「敵戦車の射程外からの遠距離射撃による撃破」を主な戦術として採用しており、以前はそれを反映して戦車砲の威力や射撃能力の向上に対して装甲防御力を軽視する傾向が見られたが、第四次中東戦争にてエジプト・シリア軍の対戦車ミサイルRPG-7により甚大な被害を蒙って以降は一転して装甲防御力の強化が図られる事となり、乗員の生存性を第一に考えた独自の設計で知られる国産戦車メルカバや、爆発反応装甲(ERA)や中空装甲(スペースドアーマー)、アクティブ防護システム(APS)などの開発・導入が積極的に進められている。

車体は原則として「シナイグレイ」と呼ばれる単色塗装で、当初はやや黄土色かかったグレーだったが、1970年頃からはオリーブドラブに近い色に切り替えられている。全ての車体には固有の車輌番号が記されており、近年は番号をプレスしたプレートにする事で、撃破炎上した車輌でも確認可能な様に配慮されている。

武器体系

核兵器

世界のメディアの多くはイスラエルが核兵器を保有していることを有力視している。核兵器は1960年代からネガフ核開発センターにおいて開発が開始され、最初の実戦配備は第三次中東戦争中に当時の首相レヴィ・エシュコルの命令により行われたと報道されている。1973年の第四次中東戦争においては、開戦当初の劣勢を懸念して13個の20キロトン級核爆弾が配備されたとされる。

現在イスラエル国防軍が保有する核兵器の種類およびその数については複数の説が存在する。FASでは100から200個の核弾頭が存在し、航空機(A-4スカイホークF-4ファントムII)および弾道ミサイル(ランス、ジェリコー・ミサイル)によって運用されるとしている。 ジェリコーIIミサイルは1,500から4,000 kmの射程を有しており、ロシアの一部、イラン、リビアを射程におさめている。

更にイスラエル海軍の保有する3隻のドルフィン級潜水艦が、魚雷発射管から発射される方式の核装備巡航ミサイルを搭載しているとの憶測が飛び交った。このミサイルは1,500kmの射程を持つとされ、2000年5月にスリランカ沖で発射テストが行われたと言われている。これは同潜水艦が異常に大口径の魚雷発射管(既知の西側諸国のいかなる魚雷よりも大きい)を持つ事から生じた憶測であると思われるが、一部の軍事アナリストは潜水艦のロジックからしてそうした運用は不可能であると否定しており、前述の発射テストの具体的な証拠も示されていない。

イスラエル政府は核拡散防止条約未加盟であることもあり、核兵器保有疑惑に関して、肯定も否定もせず曖昧な態度を示していた。しかし1986年、同国の元核技術者モルデハイ・ヴァヌヌにより、イスラエルの核開発計画の詳細が英国にて公にされた。ヴァヌヌはその後モサドに拘束され、イスラエルで反逆罪の有罪判決を受け服役、2004年に釈放された後イスラエルで監視下にありながら生存している。

2007年には、首相エフード・オルメルトがドイツのテレビ局とのインタビューにおいて核保有を一度認め、直後に撤回する椿事が起きている。また2008年5月、在任中にキャンプデービッド合意締結など同国とエジプトとの和平に尽力した元米大統領ジミー・カーターが、英国での記者会見でイスラエルの150発以上の核保有を認める発言を行ったと報じられている。

関連項目

イスラエル国防軍が参加した戦争

外部リンク

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