六ヶ所再処理工場
六ヶ所再処理工場 (ろっかしょさいしょりこうじょう) は、日本原燃が所有する核燃料の再処理工場。
1993年から約2兆1,900億円の費用をかけて青森県上北郡六ヶ所村弥栄平地区に建設が進められている。2008年に操業開始予定。
この施設の建設・稼働に対する反対運動については六ヶ所村核燃料再処理事業反対運動を参照のこと。
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概要
日本全国の原子力発電所で燃やされた使用済み核燃料を集め、その中から核燃料のウランとプルトニウムを取り出す再処理工場である。最大処理能力はウラン800トン/年、使用済燃料貯蔵容量はウラン3,000トン。2008年の本格稼動を予定して、2008年2月現在はアクティブ試験という試運転を行っている。本格稼動した場合に、この再処理工場から空と海に放出される放射能は1日分で原発1年分になるという主張もある[1]。ただし、原燃の計算を前提とすれば、周辺住民の一人あたりの年間被曝量は国の規準を大幅に下回っており、問題無いとされる(詳細は六ヶ所村核燃料再処理事業反対運動を参照)。
茨城県東海村に日本原子力研究開発機構が所有する再処理工場(東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所 最大処理能力:ウラン210トン/年)を置換する施設とされ、青森県六ヶ所村の敷地内にはウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設センター、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターが併設して建設されている。今後 MOX燃料工場の建設も予定されており、核燃料サイクルのための核燃料コンビナートを形成する。
この施設は核燃料サイクル事業で先行するフランスから技術協力を受けており、現在でもフランス人技術者が複数名、本施設で働いている[2]。
運営
2006年3月31日に日本原燃は六ヶ所村に隣接する三沢市など合計5市町村とアクティブ試験についての安全協定を締結した。同日中に開始されたアクティブ試験(試運転)では、17ヶ月をかけて本物の使用済核燃料からプルトニウムを抽出し、施設の安全性および環境へ放出される放射性物質の量を確認する。430トンを処理して4トン前後のプルトニウムを抽出する予定。
| 時期 | 記事 |
|---|---|
| 1989年3月30日 | 事業指定申請書 |
| 1993年4月28日 | 着工 |
| 2001年4月20日 | 通水試験開始 |
| 2002年11月1日 | 化学試験開始 |
| 2004年12月21日 | ウラン試験開始 |
| 2006年3月31日 | アクティブ試験開始 |
| 2008年 | 本格稼動予定 |
放出される放射性物質
この施設から環境中に放出する放射性廃棄物の年間見積り量は以下の通りである。
| 放射性元素名 | 環境放出量 ベクレル/年 |
半減期 | 生物濃縮 |
|---|---|---|---|
| クリプトン85 (Kr-85) | 33京 | 10.7年 | 無し |
| トリチウム (H-3) | 2000兆 | 12.33年 | 無し |
| 炭素14 (C-14) | 52兆 | 5715年 | 無し |
| ヨウ素131 (I-131) | 560億 | 8日間 | 考慮不要 |
| ルテニウム106 (Ru-106) | 500億 | ||
| ロジウム106 (Rh-106) | 500億 | ||
| ヨウ素129 (I-129) | 130億 | 約1570万年 | 有り |
| セシウム137 (Cs-137) | 12億 | ||
| バリウム137m (Ba-137m) | 11億 | ||
| ストロンチウム90 (Sr-90) | 8億 | ||
| イットリウム90 (Y-90) | 8億 | ||
| プルトニウム (α線核種) | 3億 | ||
| その他の核種 (α線核種) | 4000万 | ||
| その他の核種 (非α線核種) | 110億 |
注:「1京」は「1億の1億倍」である。「1兆」は「1億の1万倍」である。
| 放射性元素名 | 環境放出量 ベクレル/年 |
半減期 | 生物濃縮 |
|---|---|---|---|
| トリチウム (H-3) | 1京8千兆 | 12.33年 | 無し |
| ヨウ素131 (I-131) | 1800億 | 8日間 | 考慮不要 |
| ルテニウム106 (Ru-106) | 1700億 | ||
| ロジウム106 (Rh-106) | 1700億 | ||
| プルトニウム241 (Pu-241) | 1200億 | ||
| セシウム137 (Cs-137) | 480億 | ||
| バリウム137m (Ba-137m) | 460億 | ||
| ストロンチウム90 (Sr-90) | 340億 | ||
| イットリウム90 (Y-90) | 340億 | ||
| ヨウ素129 (I-129) | 260億 | 約1570万年 | 有り |
| セシウム134 (Cs-134) | 240億 | ||
| セリウム144 (Ce-144) | 150億 | ||
| プラセオジム144 (Pr-144) | 150億 | ||
| ユウロピウム154 (Eu-154) | 62億 | ||
| プルトニウム (α線核種)(Pu) | 45億 | ||
| キュリウム (α線核種)(Cm) | 37億 | ||
| コバルト60 (Co-60) | 29億 | ||
| アメリシウム (α線核種)(Am) | 13億 | ||
| その他の核種 (α線核種) | 4億 | ||
| その他の核種 (非α線核種) | 320億 |
注:「1京」は「1億の1億倍」である。「1兆」は「1億の1万倍」である。
国や原燃は、これらの多くは大気や海水によって希釈されるので人体に影響が出るレベルの線量にはならないとの立場を取っている。一方、本施設に反対する立場の人々は、被曝量による説明を受け入れていない[5]。また殆どの放射性物質は生物濃縮されないが、ヨウ素129のみ海藻に蓄積される為、まず三陸沖の海藻が放射性物質によって汚染され、食用にならないのではないかと考える者も居る[6]。
実際の放出量は、事業者である日本原燃のホームページ[7]でみることができる。
環境への影響
青森県と事業者である日本原燃は、環境への放射線等の影響をモニタリング調査して、四半期ごとに評価して公表をしている[8]。
青森県は、六ヶ所再処理工場の稼動に伴う環境モニタリングへの影響を次表のように見積もっている[9]。
| 試料の種類 | 核種 | 単位 | 施設寄与分 (増分)の予測値 |
これまでの測定値 (自然放射能) |
|---|---|---|---|---|
| 積算線量 | µGy/91日 mSv/年 |
2 0.006 |
74~125 0.146~0.245 |
|
| 大気 (気体状β核種) |
クリプトン85換算 Kr-85 |
kBq/m3 mSv/年 |
ND(<2) - |
ND(<2) - |
| 大気 (水蒸気状) |
トリチウム H-3 |
mBq/m3 mSv/年 |
1000 0.0002 |
ND(<40) NE(<0.00005) |
| 精米 | 炭素14 C-14 |
Bq/kg生 mSv/年 |
90 0.006 |
87~110 0.0059~0.0068 |
| 葉菜 | 炭素14 C-14 |
Bq/kg生 mSv/年 |
5 0.0004 |
- - |
| 根菜・いも類 | 炭素14 C-14 |
Bq/kg生 mSv/年 |
20 0.0009 |
- - |
| 海水 | トリチウム H-3 |
Bq/ℓ mSv/年 |
300 - |
ND(<2) - |
| 海水 | プルトニウム Pu |
Bq/ℓ mSv/年 |
0.05 - |
ND(<0.02) - |
| 海藻 | プルトニウム Pu |
Bq/kg生 mSv/年 |
0.02 0.00007 |
ND(<0.002)~0.007 NE(<0.00005) |
| 魚類 | トリチウム H-3 |
Bq/kg生 mSv/年 |
300 0.0004 |
ND(<2) NE(<0.00005) |
| 魚類 | プルトニウム Pu |
Bq/kg生 mSv/年 |
0.005 0.00009 |
ND(<0.002) NE(<0.00005) |
事故・故障等に係る事象
- 2006年2月20日:低レベル廃棄物処理建屋内で、放射性物質を含む低レベル濃縮廃液約68リットルが漏れたと発表した。当該箇所は通常では人の立ち入りがない場所であるため、作業員の被曝はなかった[10]。
- 2006年6月9日:「再処理工場分析建屋における微量の放射性物質の体内への取り込みについて(調査結果と今後の対応)」という文書で、当該作業員の預託実行線量は0.014mSvであったと発表した[13]。
- 2006年7月3日:2006年6月24日に発表された、分析建屋作業員の内部被ばくに関する調査結果を発表した[15]。この調査結果によると、作業員から放射性物質は検出されず、作業員の内部被ばくは無かった。
- 2008年1月4日:前処理建屋内に設置されている、使用済燃料のせん断機から作動油約750リットルが漏れたと発表した。なお、漏えい箇所は使用済燃料をせん断しているセル内ではなく、漏えいした作動油に放射性物質は含まれていなかった[21][22]。
関連項目
注釈・出典
- ^ "Greenpeace資料 再処理工場からの放射能は1日で原発1年分"
- ^ 「日仏は世界の先導役に」 仏首相が再処理工場視察
- ^ [ 日本原燃サービス(株)「再処理事業指定申請書」7-5-72頁(平成元年3月)]
- ^ [ 日本原燃サービス(株)「再処理事業指定申請書」7-5-99頁(平成元年3月)]
- ^ 六ヶ所再処理工場から放出される放射能による被ばく「0.022ミリシーベルトだから安全」は本当か?
- ^ 「六ヶ所再処理工場海洋汚染―海藻類による被ばくの再評価」(原燃の計算値よりも海藻から受ける放射線量は3倍程度高くなるという試算。但しそれでも50マイクロシーベルトで、気体からの放射線量も何らかの再計算により上方修正しなければ国の規準は超えないことに注意)
- ^ 日本原燃ウェブサイト「放出状況」
- ^ 青森県環境放射線等モニタリング
- ^ 青森県「六ケ所再処理工場の操業と線量評価について」(平成18年2月7日)
- ^ 低レベル濃縮廃液の漏えいに関する発表資料
- ^ 精製建屋内での試薬の漏洩に関する発表資料
- ^ 分析建屋作業員の微量な放射性物質の体内取込みに関する発表資料
- ^ 分析建屋作業員の微量な放射性物質の体内取込みに関する調査結果
- ^ 分析建屋作業員の内部被ばくの可能性に関するプレスリリース
- ^ 2006年6月24日発生した分析作業員の内部被ばくに関する調査結果
- ^ 低レベル廃棄物処理建屋での洗浄水漏洩についての発表資料
- ^ ウラン・プルトニウム混合脱硝建屋でのウラン・プルトニウム溶液の誤供給についての発表資料
- ^ 前処理建屋内のエンドピース洗浄装置の部品変形についてのプレスリリース
- ^ エンドピース洗浄装置の部品変形に関して2007年10月9日に発表された速報
- ^ 前処理建屋内のエンドピース洗浄装置の部品変形についての調査結果
- ^ 前処理建屋のせん断機からの作動油漏えいに関する発表資料
- ^ 前処理建屋のせん断機からの作動油漏えいに関する調査結果



